宇宙関連企業では、衛星打ち上げミッションごとに「ミッションネーム」や「ミッションパッチ(ロゴ)」を作ることがあります。Synspectiveの小型SAR衛星「StriX-α」の打上げに際しては、「The Owl’s Night Begins」というミッションネームをつけました。フクロウ【Owl】を意味するSynspectiveの小型SAR衛星「StriX」。夜【night】は、SAR衛星が夜でも地球を観測できることを表しています。そして、始まり【begins】とは、「StriX-α」が、私達がこれから構築するコンステレーションの最初の衛星であるとともに、Synspectiveの宇宙での存在が「始まる」ことを指しています。

StriX-αミッションパッチ

 

コロナ禍における多くの制約がある中での初号機打上げ。Synspectiveにとっては、全てが初めての経験でした。そして、従業員全員にとって大きなマイルストーンとなる特別なイベントでもありました。沢山の人の想いを乗せたSynspectiveの小型SAR衛星初号機「StriX-α」は、日本時間12月15日 19時09分に、 ニュージーランドの マヒア半島にある発射場からRocket Lab社のElectronロケットにより打上げられ、予定通りの軌道(太陽同期軌道、 高度500km)への投入に成功しました。その後、順調に運用を続け、2021年2月8日に初画像の取得に成功しました。

StriX-αを載せたElectronロケット

 

そんな記念すべき「StriX-α」の打上げは、Synspectiveのメンバー達にとってどのような経験だったのでしょうか?聞いてみました。

 

小畑 俊裕、Board Director/General Manager of Satellite System Development Dept.

「人工衛星は、開発者が行ったことの無い宇宙空間に挑むことから、最初の打上げで成功する、つまり我々の場合画像が取得できる、ということ自体が稀です。自分達のできることは全てやりきったものの、最悪のシナリオも想定し、対応策もたんまり考えて臨みました。結果的には打上げが成功、そして無事画像データが取得できました。ただ、そこに至るまでは自信と不安の入り混じる日々でした(笑)」

 

2020年12月、Synspectiveとして初めての衛星打上げを成功させるため、6人のミッションクルーがニュージーランドに向けて旅立ちました。世界はコロナパンデミックの渦中にありました。ニュージーランドについたメンバーは、2週間隔離された後、先に到着していた「StriX-α」とようやく対面し、射場作業を実施。打上げミッションへの参加が初めてというメンバーも多い中、それぞれが出来ることを確実にやりきることでミッションは無事成功を収めました。

StriX-α ミッションクルーとRocket Lab CEOのPeter Beckさん

 

有坂 市大郎、Project Manager&StriX-α Mission Manager

「設備、人員、時間全てが十分でない状況下で実証実験としてフライトモデルの衛星を作り上げました。与えられた条件下でベストは尽くしましたが、全ての工程において十分満足の行く検証ができたか正直不安でした。周囲からの高い期待に応えたい気持ち、やりがいのある仕事へのモチベーション、そして自分なら成し遂げられるはずだと思う気持ちが時として諸刃の剣のように、プレッシャーとして襲い掛かりました。SAR衛星コンステレーション第一号の小さなStriX-αでしたが、これまで打上げてきた大型衛星よりも思いは大きかったです。今は早く軌道上に仲間を増やしてあげたい気持ちでいっぱいです。」

 

市村 ゆめ、Assistant of Satellite System Development Department

「全ての事柄に最高のチームワークで臨めたことが何よりも貴重な経験となりました。初号機に携わった方々の思いを背負いながら、ミッション成功に向け、連日作業に徹するメンバをサポートできたことを光栄に思います。」

 

山脇 久嗣、Quality Assurance Engineer

「コロナ禍での不慣れな場所でのミッションは不安と苦労が多くありましたが、ミッションメンバーと助け合いながら課題を乗り越え、絆を深めることができたことが最も貴重な経験でした。」

 

粟田 晃平、Manager/Electronics System Engineer

「電気系の技術者は私一人でしたのでプレッシャーを感じていましたが、射場メンバーのサポートもあり不安なく作業することができました。衛星がフェアリングに搭載されてる様子から打上げまで現場からみることができたのは貴重な経験でした。コロナによる隔離生活、初めての場所での作業等ハードルが高い環境でしたが最高のメンバーとこの経験をできたことがβの開発に活きています。」

 

内山 航、Manager/AIT (Assembly, Integration and Test)

「StriX-αの打ち上げは、自分にとっても会社にとっても初めての衛星の打上げでした。αの開発には途中から参画し、理解が充分ではないような感覚を抱いたままの挑戦でした。これで本当に全てよかったのか? 実は そういう思いは今でも残っています。幸いにもStriX-βのミッションクルーとしても参加することができたので、2回目にして答え合わせができると思っています。」

 

市川 翔太、System Engineer

「みんなで作り上げた衛星をロケットに搭載する作業は、ここでミスをすれば全てが水の泡になるというすごいプレッシャーの中の作業でした。ただ、衛星がロケットからの分離に成功した時のチームメンバーとのハイタッチは今も忘れられません。」

 

 

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打上げ当日、PRチームは打上げの様子と記者会見をYoutubeでLive放送しました。Liveの視聴回数は6000超。

※打上げLiveの様子はこちらからもご覧になれます。

 

Head of PRの熊﨑 勝彦は当時の様子を語ります。

「今まで経験したPRイベントの中で最も緊張しました。当時、悩んだのは『衛星の打ち上げは予定通りにいかない』、そして、打上げ後、『軌道投入成功するまでに時間がかかる』という点でした。せっかくの晴れ舞台。できれば多くの人にSynspectiveについて魅力的に伝えたい届けたいと考え活動していましたが、コロナ禍の制約やイベント日が不確実、かなり準備が必要だったこともあり、とても右往左往していました。当日は、PRチームや社外スタッフに支えられ、無事打上げも配信も成功。接続数や再生数も伸び、とても良いイベントとなりました。何よりも、このイベントを通じ仲間達と共に駆け抜けることで、一緒に事業を創っていっていると実感できたのが嬉しく今も鮮明に思い出せます。

 

他にも多くのメンバーが、それぞれの役割を全うし、小型SAR衛星の初号機打上げ成功という快挙を達成することができました。

 

 

 

2020年代後半までに30機のコンステレーション構築を目指すSynspectiveでは、今後も次々と打上げを予定しています!衛星打上げ成功にチームの一員として自らが貢献できる貴重な機会がまだまだあります。共に感動を共有しましょう。

Synspectiveでは、一緒に働く仲間を募集しています。応募はこちらから。

 



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