地球観測とSAR衛星

衛星技術の進歩は、天気予報の大幅な改善から通信、測位にいたるまで、私たちの暮らしを大きく改善してきました。その中でも地球観測衛星は、高解像度の画像を撮像する光学衛星から、昼夜の温度変化を検出する赤外線衛星まで、地球環境や気候変動の理解などに大きく貢献しています。

合成開口レーダー(SAR)衛星は画期的な地球観測衛星です。観測に太陽光は必要なく、雨や曇りなどの天候に左右されないレーダーの特性を活かして、地表をより広範囲に観測することができます。地表や物体にマイクロ波を能動的に照射し、その反射波をとらえるリモートセンシング技術で、夜間および悪天候時、噴火や山火事などの状況でも定常的に観測が可能です。

とりわけ技術発展が目覚ましい、小型・軽量化された次世代の観測衛星は、低軌道上に多数の衛星を打ち上げ、定常的に地表を観測することができるようになりました。その結果、広い地域を、より安定して、高頻度にデータ取得が可能となり、災害や環境、社会インフラなどの分野で、迅速な意思決定への取り組みがはじまっています。

SAR衛星で見える化

レーダーを利用するSAR衛星は光学カメラによる観測と異なり、夜間、曇りや雨などの天候にも左右されず定常的にモニタリンング、変化検知ができます。地表面の形状の把握や物体を検出し、何がどのように変化したかを教えてくれます。主要な港湾サプライチェーンの可視化や、洪水被害を数時間後に評価、地すべりなどの地盤の危険性を、地上500km上空から捉えたSARデータから知ることが可能です。

SAR衛星は、陸上から海上まで、広域を知るにはコスト効率の良い方法であり、すでに災害や危機管理、環境モニタリング、サプライチェーン、経済トレンドなどを見える化する画期的な技術として評価されています。

さらなるSARデータ活用

SAR衛星による観測は、能動的に観測対象へマイクロ波を照射し、衛星アンテナに戻ってきた「後方散乱」、つまりその反射された強度と位相の情報を取得したデータで、光学カメラを用いた可視光による観測とは違った情報を読み取ることができます。SARデータは単にモノクロ画像として表示することもできますが、その真価は、データサイエンスや機械学習を駆使することによって、陸地や海上で何が起きているか、あるいは何が起きる可能性があるかを導き出すことにあります。

Synspectiveは、政府機関や企業にSARデータおよび衛星データを活用したソリューションを提供しています。また衛星データ分析サービスを提供しているしている企業に、SynspectiveのSARデータを利用いただくことが可能です。このようなSARデータ活用のエコシステムを発展させることは、私たちが持続可能な環境保全、資源開発、社会インフラを確立するために重要な取り組みとなります。

コンステレーション構築

Synspectiveは、地球上のあらゆる場所を数時間おきに観測できる本格的な衛星コンステレーションを構築しています。100kg級の小型SAR衛星 “StriX” は、従来の大型SAR衛星の約1/10の重量で、開発・製造や打ち上げコストを抑えることができます。2020年の初号機打ち上げを皮切りに、2026年頃までに30機の衛星を軌道上に配置するロードマップを策定しています。

小型SAR衛星開発と運用、SARデータの生成と処理、さまざまなユースケースに合わせたSARデータ活用は、一気通貫したバリューチェーンです。Synspectiveは、SARデータの生成と活用の両方をワンストップで提供しています。これは、データに基づき、レジリエントで持続可能な社会の実現という私たちのミッションを加速する、大きな力となっています。

詳しい情報は、 小型SAR衛星 “StriX のページをご覧下さい。

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