違法金採掘は、ラテンアメリカにおける最大規模の犯罪経済のひとつとなっています。ペルーでは、違法金の取引規模がコカイン産業の数倍に上ると推定されており、同じ武装グループがますます両方の事業に関与するようになっています。金はコカインより流通しやすく、当局の目を引きにくいため、麻薬取引の収益を洗浄する手段として利用されているのです。コロンビアでも、違法採掘による収益は麻薬密売を上回る規模に達しています。その被害は上空からも一目瞭然です。ペルーのアマゾン熱帯雨林では、過去数十年間で14万ヘクタール以上が採掘によって失われ、採掘作業によって河川の流路が変えられ、金の分離に使用される水銀は魚の体内に蓄積し、それを食べる人々の体内では健康基準値の約4倍に達しています。
この問題は、国境を越えて流れる河川沿いの広大で道路のない地域に広がっており、多くの場合、取り締まりの手が届きにくい場所に位置しています。一年の大半は雲に覆われているため衛星観測が困難であり、重要な活動の多くが夜間に行われています。また、一つの採掘拠点が国境の両側にまたがって運営されていることも多く、その間に検問所はありません。そのため、各国が単独で把握できる実態には限界があります。
こうした状況に適しているのが合成開口レーダー(SAR)です。SARは雲を透過して撮像でき、天候や日照条件に左右されることなく、昼夜を問わず安定した周期で観測を続けることができます。
2段階のモニタリング
モニタリングは2段階で実施されます。第1段階は広域撮像です。数週間から数カ月前に広域観測を行い、地域全体の状況を把握した上で、注目すべきホットスポットを特定します。3〜5メートルの解像度で、一回の撮像により約1,000平方キロメートルをカバーでき、個々の目標物を特定するには至らないものの、活動のパターンを把握するには十分です。第2段階では、広域撮像で検出したホットスポットに対して、高解像度(25cm分解能)で高頻度の再観測を実施し、個々の目標物を正確に特定します。
Synspectiveは、違法採掘の発生が知られているアマゾン川流域の一区間をStriXで観測し、クライアントとは独立した立場で独自に画像を分析しました。そこで捉えた活動は実際のものであり、同地域での政府向け業務で把握している実態と一致しています。コロンビアとブラジルの国境に位置するプレ川(Río Puré)沿いでは、3月17日の日中と翌18日の夜間に同一座標を撮像しました。日中の画像には河川に船舶の姿はなく、後に採掘船が現れる予定地点に区画が示されているのみです。しかし数時間後の夜間画像では、2隻の採掘船が川底で作業を行っている様子が確認できました。

検出される特徴的な兆候
採掘活動にはそれぞれ異なる特徴的な兆候があります。最もわかりやすいのは採掘船です。広域撮像では一区間だけで数十隻が確認され、高解像度の再観測によって個々の機体が特定の座標に紐付けられました。採掘船が川底に残す改変痕は早期検出の指標となり、船体そのものより先に確認できる場合があります。金属製の屋根はレーダー信号を強く反射するため、暗い水面に対して際立って見えます。これらの採掘船は、検問所のないコロンビア側とブラジル側の両岸に確認されました。

第二の兆候は人工池です。鉱石を処理するために河岸に掘削されたもので、以前は何もなかった場所に出現します。9日間隔の2枚の画像を比較すると、そのような池のひとつが形を変えていることが確認でき、採掘がまだ継続中であることを示しています。

第三の兆候は建設重機です。ブルドーザーや掘削機が剥き出しの地面に際立って見えます。ブラジルでは法律により、現地に到達した取り締まり部隊がその場で機材を破壊することが認められており、採掘事業者に直接的かつ多大な損害を与えられます。採掘は決して孤立した活動ではありません。数日以内に森林を切り開いて設けられた違法滑走路、貴重な木材の搬出のために切り開かれた廊下状の通り道、そして本来は何もないはずのの中に明るく浮かぶ建物の集まりは、これらの活動を支える広範な物流ネットワークの存在を示しています。

迅速な意思決定を支える情報
この画像データの価値は、その活用スピードにあります。新しい撮像データは、現場へ出動する数時間前に当局へ届けることができ、数メートル単位の精度で位置を特定できます。これにより、活動が続いている間に、チームを船やヘリコプターで誘導することが可能になります。採掘船のように明確な兆候を持つ目標物であれば、解析者が一度その特徴を把握すれば、検出作業の大部分を自動化し、結果の確認に集中できるようになります。Synspectiveの役割は、この能力を提供し、各機関が使いこなせるよう支援することにあります。
今日の多くのモニタリングは国ごとに行われていますが、犯罪ネットワークは国境を自由に越えています。システム全体を、昼夜を問わず、雲を通して、一度に監視する——その実現が、今まさに手の届くところまで来ています。
<参考>
Tim Lister and Claudia Rebaza, “Why illegal gold mining is overtaking cocaine as the drug of choice for traffickers in Latin America,” CNN, November 23, 2025.
Adriaan Alsema, “How Colombia’s gold finances illegal armed groups,” Colombia Reports, July 25, 2022.
Luke Taylor, “Illegal gold mining clears 140,000 hectares of Peruvian Amazon,” The Guardian, October 8, 2025.