2021年8月14日、前線が停滞したことによる記録的な大雨は九州北部や中国地方を中心に、広範囲で河川の氾濫や土砂災害などの被害をもたらしました。
今回、Synspectiveでは佐賀県の六角川周辺で発生した氾濫被害状況を、当社ソリューションサービスのFlood Damage Assessment (FDA)を用いて解析しました。観測データは、2021年8月15日午前9時21分(UTC)Sentinel-1SAR衛星データを使用し、佐賀県内で特に被害が大きかった六角川周辺の洪水被害状況です。解析結果に基づく浸水域推定図は下記のとおりです、並行して本サービスのさらなる向上を目的に精度検証を行っています。
Flood Damage Assessment(FDA)による六角川の氾濫の解析図
ソリューションの特徴
- 対象地域でどの道路・建物が浸水しているか3Dで可視化・定量把握が可能
- 直感的なユーザーインターフェース
- PDFレポートでの出力
他の観測データとの相違点
- 道路や建物の浸水情報による広範囲の観測
- 人による確認や解析が不要な自動解析
- 河川の水位計などの地上観測データに加え、浸水範囲及び浸水深度情報も把握可能
まとめ
災害発生時には正確な情報に基づき、被害状況に応じた迅速な対応が必要となります。
Synspectiveは、独自の小型SAR(合成開口レーダー)衛星の開発・運用を行っており、すでに運用を開始した初号機を含め、2020年代後半までに30機の衛星コンステレーション構築を目指します。低軌道を周回する30機のコンステレーションにより、世界のどの地域で災害が発生しても、2時間以内に衛星が到達し観測することが可能となります。(国内任意エリアでは最短間隔数十分で撮像が可能となります。)
従来の光学衛星や航空機・ドローンによる観測方法とは異なり、SAR衛星は全天候型の地上観測が可能なため、より広い範囲での浸水被害の有無を迅速に把握することが可能です。
さらに、機械学習技術などの最先端の解析手法を活用することで、上記のように道路や建物などの施設への影響範囲を把握することができます。
将来的には、小型SAR衛星コンステレーションから得られるデータをFlood Damage Assessmentに組み込むことで、浸水被害をより迅速に把握することが可能となります。これにより、公的機関においては浸水地域への救助や支援、人員配置の優先順位付けに、保険会社や自社設備を持つ企業では、浸水被害を迅速に把握し、意思決定にデータを活用することができます。
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