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衛星とセンサーの仕様

「だいち4号」(ALOS-4)は、ALOS-2の後継となるJAXAの先進レーダ衛星です。最新鋭のLバンド合成開口レーダ「PALSAR-3」を搭載しています。

ALOS-4の最大の特長は、Lバンド(周波数 約1.2GHz / 波長 約24cm)のマイクロ波を使用している点です。XバンドやCバンドとは異なり、Lバンドは樹冠(葉)を透過して幹や枝まで到達し、森林の内部構造を捉えることができるため、バイオマス推定(森林資源量の把握)や、森林減少の検知において極めて高い効果を発揮します。

さらに、Lバンドデータは植生が存在するエリアでも長期間にわたり高いコヒーレンス(干渉性)を維持するため、干渉SAR(InSAR)解析のグローバルスタンダードとなっています。これにより、山間部や郊外を含む広範囲において、地殻変動、地盤沈下、インフラの安定性などをミリメートル単位の精度で計測することが可能です。

また、その広範囲な観測能力を活かし、日本国内の全陸域を2週間に1回のサイクルで網羅的に観測します。高頻度かつ定期的なデータの取得は、時系列での変化抽出を容易にし、インフラ監視や災害リスク管理における意思決定を強力にサポートします。

主な衛星仕様

軌道太陽同期準回帰軌道
高度628 km
回帰日数14日

偏波カラー合成による土地被覆の可視化
2025年4月、ALOS-4が捉えた九州・熊本エリアの観測画像です。熊本市街地から阿蘇カルデラに至る広大なエリアを、200kmという観測幅で一度に撮影しました。偏波カラー合成を行うことで、森林などの植生(緑)と市街地(紫/ピンク)を明瞭に識別し、地形の起伏や土地被覆の状況を鮮やかに描き出しています。


観測モード

ALOS-4に搭載されたPALSAR-3は、用途に応じて解像度と観測範囲のバランスを選択できる3つの主要な観測モードを提供します。

高分解能モード (Stripmap)

最大3mという高分解能と、200kmという極めて広い観測幅を両立させた標準的な観測モードです。ALOS-2と比較して観測幅が大幅に拡大(50km→200km)したことで、広範囲かつ詳細なモニタリングが可能になり、災害対応や国土管理の迅速化に大きく貢献します。

分解能3m, 6m, 10m
観測幅100 km, 200 km

広域観測モード (ScanSAR)

ビームを走査することで、700kmという広大な観測幅を実現します。海氷や海洋活動の監視、あるいは洪水や森林火災といった大規模災害の被害状況把握など、広域のマッピングに最適です。

分解能25m
観測幅700 km

スポットライトモード (Spotlight)

アンテナのビームを特定の狭い領域に照射し続けることで、最も高い分解能(1m x 3m)を実現します。詳細な地点監視、インフラ解析、ターゲット認識などに適しています。

分解能1m x 3m
観測幅35 km

注記: 観測可能範囲は左右(クロス・トラック方向)に1160kmで、入射角8°〜70°に相当します。標準的な高分解能モードでの観測は、右観測・観測幅200km・入射角30°〜44°で行われます。


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技術ドキュメント 解析に向けたALOS-4の具体的なデータプロダクト、処理レベル、ファイル形式などの詳細については、JAXAの公式ドキュメントをご参照ください。