小型SAR衛星の開発・運用からSARデータの販売とソリューションの提供を行う株式会社Synspective(本社:東京都江東区、代表取締役CEO:新井元行)は、国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構(JAXA)が運用する、先進レーダ衛星「だいち4号」(以下「ALOS-4」)のサービス事業(解析ソリューション)の提供を開始したことをお知らせいたします。ALOS-4によるSARデータ提供の開始時期は決まり次第、ご案内させていただきます。

SAR(合成開口レーダー)衛星のデータは、天候や昼夜を問わず地表を観測できるため、多様な業界の課題解決に貢献しています。一方で、その解析には専門的な知識や技術が必要という課題がありました。Synspectiveは、この課題を解決し、誰もがSARデータを活用できる社会を目指すため、自社のソリューション提供を強化してまいりました。

▪️ 地盤変動モニタリングサービス(LDM):観測頻度向上で、より精密な監視を実現
当社の「地盤変動モニタリングサービス(Land Displacement Monitoring、以下LDM)」は、SAR衛星の観測データを用いて、広範囲の地盤の変動をミリ単位で検出するソリューションです。これまでもJAXAの「だいち2号(ALOS-2)」のデータを活用し、インフラやダム、鉱山などの維持管理に貢献してきました。

今回、新たに「だいち4号」のデータが加わることで、データ更新の頻度が従来の年3回程度から最大で年20回へと大幅に向上します(日本のみ対象)。これにより、より高頻度な地盤変動の察知が可能となり、トンネル工事やダムなどの重要インフラの安全管理をさらに高度化します。また、「だいち2号」が蓄積してきた過去のアーカイブデータと組み合わせることで、長期的な変動傾向の分析も可能になります。

▪️ 盛土検知サービス:草木を透過するLバンドの強みを活かし、危険盛土の早期発見に貢献
2021年の土石流災害を契機に施行された「盛土規制法」により、全国で危険な盛土の総点検が求められています。当社の盛土検知サービスは、この机上調査を効率化するソリューションとして、すでに多くの自治体で活用されています。

「だいち4号」が搭載するLバンドSARは、電波が草木を透過しやすい特性を持っています。そのため、植生豊かな日本の山間部においても、地表面の変化を正確に捉えることができ、新たに造成された盛土の検知に最適です。観測頻度も向上するため、積雪期などを避けて最適なデータを選択できるようになり、検知の精度と効率が飛躍的に向上することが期待されます。

ALOS-4について
ALOS-4は、H3ロケット3号機によって種子島宇宙センターから打ち上げられた、JAXAの人工衛星です。ALOS-4には、Lバンド合成開口レーダーが搭載されており、前号機ALOS-2の性能を向上させ、高いレベルの解像度と観測カバレッジ(広域な観測)を実現しています。
参考:JAXAサテナビ だいち4号HP https://www.satnavi.jaxa.jp/ja/project/alos-4/index.html



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