小型SAR衛星の開発・運用からSARデータの販売とソリューションの提供を行う株式会社Synspective(本社:東京都江東区、代表取締役CEO:新井元行)は、国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構(JAXA)より、先進レーダ衛星「だいち4号」(以下「ALOS-4」)のデータ・サービス事業者として選定されたことをお知らせいたします。提供開始時期などの詳細は決まり次第、ご案内させていただきます。
SARデータの将来的な利用促進のためには、専門的な技術を持たない潜在的顧客に向けた支援が不可欠です。このため、当社では解析したSARデータやソリューションとして提供することに注力しています。これまでの「だいち2号(ALOS-2)」の活用実績を活かしながら、ALOS-4で取得した衛星データの販売網を拡大し、日本国内外、特にアジア圏での利用促進を図る計画です。自社の小型SAR衛星「StriX(ストリクス)」と合わせることで、顧客が利用可能なSAR画像を増やすことができ、新たな価値創出の促進にも繋がると考えます。
ALOS-4について
ALOS-4は、H3ロケット3号機によって種子島宇宙センターから打ち上げられた、JAXAの人工衛星です。ALOS-4には、Lバンド合成開口レーダーが搭載されており、前号機ALOS-2の性能を向上させ、世界最高レベルの解像度と観測カバレッジ(広域な観測)を実現しています。
参考:JAXAサテナビ だいち4号HP https://www.satnavi.jaxa.jp/ja/project/alos-4/index.html
StriXとALOS-4の違い
Synspectiveの小型SAR衛星「StriX(ストリクス)」と、ALOS-4は、どちらも合成開口レーダー技術を活用していますが、異なる特徴を有しています。
StriX衛星はXバンドを利用しており、このバンドは高分解能の画像を取得するのに適しています。Xバンドは波長が短いため、木の葉や草で電波は反射され、建物や道路などの構造物の把握や変化を捉えるのに優れています。また、地表の地形や地質、森林構造などを詳細に把握することが可能であり、都市部のインフラのモニタリング、災害後の迅速な被害評価に強みを発揮します。
一方、ALOS-4はLバンドを使用しています。Lバンドは波長が長く、森林地域や草地などの地表観測において優れた性能を発揮します。この特性により、ALOS-4は地盤変動や盛土の把握と長期的なモニタリングに適しています。
StriXとALOS-4はそれぞれ異なるバンドの特性を活用することで、補完的な情報を提供します。高解像度が求められる都市部の観測にはXバンドのStriXが、また地盤の変化を追跡する必要がある場合にはLバンドのALOS-4が最適と言えます。Synspectiveでは、これら両方の優れた特性を活かし、多様なニーズに応じたソリューションを提供して参ります。