小型SAR衛星の開発・運用からSARデータの販売とソリューションの提供を行う株式会社Synspective(本社:東京都江東区、代表取締役CEO:新井元行)は、AIリアルタイム防災・危機管理情報サービスを提供する株式会社Spectee(本社:東京都千代田区、代表取締役CEO:村上建治郎)と、災害対応の迅速化・高度化を目的とした協業を開始したことをお知らせします。本協業では、両社の浸水解析技術を融合させ、より詳細な被害状況の把握を目指します。
協業の背景と目的
近年、気候変動の影響により世界中で自然災害が激甚化・頻発化しており、特に水害による被害は深刻さを増しています。災害発生時、人命救助や迅速な復旧活動のためには、被害の全容を迅速かつ正確に把握することが不可欠です。
Synspectiveは、小型SAR衛星「StriX」により、天候や時間帯に左右されず広域の地表面を観測し、浸水被害を解析するソリューションを提供してきました。一方、Specteeは、AI技術を用いてSNS情報から災害・危機管理情報をリアルタイムに抽出し、その位置情報や被害の様子を可視化するサービスで国内トップシェアを誇ります。しかし、SAR衛星による観測だけでは、ビルや住宅が密集する都市部など、局所的・詳細な被害状況の把握には課題がありました。この課題を解決するため、広域を捉える「宇宙の眼(SAR衛星)」と、ピンポイントの状況を捉える「地上の眼(SNS情報)」を組み合わせることで、災害対応能力を飛躍的に向上させることを目指し、本協業に至りました。
協業の概要:衛星解析とSNS情報の融合による浸水被害解析の高度化
SAR衛星データから得られる広域の浸水範囲と、Specteeが収集・解析したSNS上の現場の被害情報(画像、動画、テキストから得られる浸水の深さや状況など)やリアルタイムに浸水の影響範囲を地図上に表示する「リアルタイム浸水推定」を統合します。両社の浸水解析結果を突き合わせることで、SAR衛星だけでは判別が難しかった住宅密集地などの浸水状況を補完し、より実態に即した、浸水被害マップの作成を目指します。
株式会社Specteeについて
「”危機”を可視化する」をミッションに、SNSや気象データ、カーナビ情報、道路・河川カメラなどのデータから災害やリスク情報を解析し、被害状況の可視化や予測を行っています。AIリアルタイム防災・危機管理サービス『Spectee Pro』は、世界で発生する災害や危機を、迅速に収集、可視化、予測することができ、災害対応や危機管理などを目的に、全国の自治体、報道機関、インフラ企業、メーカー、物流、金融機関などに導入いただいています。契約数は2024年7月に1100を突破しました。また、昨年より『Spectee Pro』の海外市場への本格展開をスタートし、フィリピンでは既に中央官庁及び地方自治体に100ライセンス以上導入されています。さらに製造業向けのサプライチェーン・リスク管理サービス『Spectee SCR』は、サプライチェーンを見える化するとともに、サプライヤー周辺で起こる危機を瞬時に覚知し、被害状況や製品への影響、納期の遅れなどを迅速に把握することが可能になります。
https://spectee.co.jp/
株式会社Synspectiveについて
Synspectiveは、独自の小型SAR(合成開口レーダー)衛星を開発・運用し、SARデータの販売と衛星データを利用した解析ソリューションを提供しています。2020年代後半までに30機の小型SAR衛星コンステレーションを構築し、地球上のあらゆる場所の変化を観測できる新しいインフラの創造を目指しています。高頻度・高解像度の地球観測を可能にするSAR衛星を活用することで、持続可能な社会・経済活動を阻害する恐れのある自然災害や紛争、環境破壊などのリスクを特定・評価し、専門性を持つパートナーとともにソリューションの開発・実装を行います。
https://synspective.com/