2022年3月1日、Synspectiveの2号機「StriX-β(ストリクス・ベータ)」がニュージーランドのマヒア半島にある米Rocket Lab社の発射場からのElectronロケットにより打ち上げられ、予定通りの軌道(太陽同期軌道、高度561km)に投入されました。

 

当初「StriX-β」は、Exolaunch社のSoyuz-2ロケットにより2021年内の打上げを予定していましたが、急遽ロケットの打上げ延期が決定しました。しかし、Synpectiveとしては、事業計画実行のために、早く2号機を打ち上げる必要がありました。「できない」ではなく「やる」という強い意志の元、諦めず知恵を出し合い、何が何でもやってしまうのがSynspective。年内打上げという当初の予定に近づけるべく、すぐに打上げ会社をRocket Lab社に変更し、衛星輸送のためのプライベートジェットも手配しました。

 

ロケット会社との交渉責任者であり執行役員/ビジネス開発部ゼネラルマネージャー・淺田

「Rocket Lab社の対応の柔軟性にはいつも感心します。非常に短い期間で、契約締結から打上げの実施までを行っていただきました。Soyuz-2ロケットからの変更は事業計画体制のために止むなく実施したことですが、その後ヨーロッパにおける世界情勢の影響を受け、ロシアからの衛星打上げが困難になったことを考えると絶妙なタイミングであったと思っています。

 

前回同様、コロナ禍での打上げ

打上げの約1か月前、Synspectiveの打上げミッションクルー5名はオークランドに到着しました。今回も、前回同様、コロナ禍での打上げとなったため、ミッションクルー達はニュージーランド到着後すぐに隔離施設に移動。一方、StriX-βは1月26日深夜に飛行機への積み込み作業を完了し、同日、成田空港を飛び立ちました。ニュージーランド時間の1月27日夜、StriX-βは無事にオークランドに到着。10日間の隔離期間が終わったメンバー達は、その後マヒナ半島に移動し、StriX-βをロケットに搭載する作業を行いました。

 

打上げ直後の数時間は、緊張が続きます

早朝の打上げだったため、日本に残っている衛星開発部のメンバーは深夜に出社し、打上げの様子を見守りました。Rocket LabのLive中継をオフィスにある大きなモニターに写し、固唾をのんで打上げを待ちます。10からカウントダウンがスタート。3、2、1、豪快な発射音とともに、SynspectiveとRocket Labのミッションロゴを背負ったElectronロケットが、迷いなく、まっすぐ宇宙に向かって飛んでいきました。ロケットが雲の合間に消えていくと、映像はロケット側に搭載しているカメラに切り替わります。宇宙から見る地球の一部が映し出されました。映し出された地球は雲に覆われており、雲の下の地表の様子を見るのが難しく、改めてSAR衛星の有用性を実感。その後、TwitterでRocket Lab社CEO・Peter Beckさんの「Payload deployed, 100% mission success.」のTweetを確認します。一安心するも、まだ終わりではありません。テレメトリーを受信し、衛星が正常に機能していることを確認するまで、オペレーションルーム内は空気が張り詰めた状態が続きます。そして、約30分後、ついに衛星運用ルームのモニターでテレメトリー受信が確認でき、オフィスは拍手と歓声に包まれました。

 

取締役/衛星システム開発部ゼネラルマネージャー・小畑
「2回目の打上げ及び初期運用とはいえ、緊張します。衛星は通信できなければ状態が分からず、操作指示も出せません。またアンテナが展開しないと電力が発生できず、観測もできないため、その後の運用ができなくなります。打上げ直後の数時間は、このように、あまりにも重要な多くのことが短時間で発生します。高度560kmの宇宙空間を秒速7.6kmで進む衛星の状態を、8分程度の通信可能時間に得られる限られた数字の列から判断し、必要ならば対処していきます。前回の経験があるが故の自信と、それでもまだ高々2回目であるが故の不安とのせめぎあい。正常動作が確認できた時は喜び、安堵すると同時に、これまで関係いただいた社内外全ての皆さんへの感謝が溢れました。ですが、これもまだ始まりに過ぎず、すぐに画像やソリューション提供を開始するための機能・性能チェックに入ります。運用メンバーの緊張は続きます。」

 

 

衛星打上げをより身近に感じていただきたい

StriX-βの打上げは、日本時間午前5時37分と早朝のため、ライブ配信などのイベントは行いませんでしたが、前回と同様に、新井CEOと淺田GMによる解説動画を制作しました。
動画では、元米国三菱重工・副社長、日本ロケット協会・会長などを歴任し、N-1、N-2などのロケット開発からH-ⅡAの民営化、打上輸送サービスのプロマネなど35年以上宇宙開発業務に従事してきたロケットのプロフェッショナルである淺田が、ロケットラボ社についても分かりやすく解説しました。

 

 

まもなく、3号機かつ実証商用機の初号機となる「StriX-1」を打上げます。2020年代後半までに30機のコンステレーション構築を目指すSynspectiveでは、今後も次々と打上げを予定しています!チームの一員として自らが貢献できる貴重な機会がまだまだあります。共に感動を共有しましょう。

Synspectiveでは、一緒に働く仲間を募集しています。応募はこちらから。

 



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