衛星データ解析によるソリューション提供および小型SAR(合成開口レーダー)衛星の開発・運用を行う株式会社Synspective(本社:東京都江東区、代表取締役CEO:新井元行)は、斜面崩壊などの土砂災害発生前の予兆変動を検知する地盤変動解析装置と地盤変動解析方法である斜面不安定性検知機能を開発し、特許出願(出願番号PCT/JP2022/026506)しました。
■ 概要
当社ではこれまで、SAR衛星データの特徴を活かし、広域の地盤変動を解析し、その結果を提供するLand Displacement Monitoring(LDM)ソリューションサービスを提供しています。同サービスは、地盤の変動を監視(モニタリング)し、広域な地表面の変動量をmm単位で検出し時系列で表示することが可能です。さらに昨年4月には、同サービスによる陥没の可能性箇所を特定する陥没領域抽出機能(特許出願済:出願番号PCT/JP2021/003312)もリリースしました。
(当社LDMについてはこちら、陥没領域抽出機能についてはこちら)
昨今、大雨や洪水、地震や地盤の劣化から起こる地滑りや地盤沈下など、自然災害の影響が世界規模で人々の安全を脅かす大きな社会問題となっています。
地盤の変動状況を監視するだけでなく、地盤災害の前兆を発見して警告を行うことが重要と考え、これまでの地盤変動における監視(モニタリング)そして、地盤沈没の可能性箇所を予測する機能の追加から、今回新たに、地すべりや斜面崩壊という地盤災害の前兆を発見して警告するための解析装置および解析方法を開発しました。
■ユースケースレポート
本特許技術を活用した、”地すべり災害に対するInSAR解析のユースケース”はこちらから。
■解析結果イメージ
左:局所領域における不安定な変動点の分布(Source:Esri,Earthstar Geographics, ©Copernicus Sentinel data [2021], ©Synspective Inc)
右:地盤変動が顕著な領域(ホットスポット)の 分布及び変動速度によるリスクレベル表示 (Source:Esri,Earthstar Geographics METI/NASA, ©Copernicus Sentinel data [2021], ©Synspective Inc)
■ 期待できる効果
本技術によって、どの時点のどの場所で、地盤災害の前兆たり得る変動が起きているかといった地盤変動の状況を捉えることができ、これにより、捉えた地盤変動の状況に基づいて、災害リスクの早期警告などを活用することが可能となります。
例えば、実際に地盤災害が発生する前に、その前兆となる現象が起きていることを報知することが可能です。また、時系列顕著性データのうち一部期間の顕著性指標値を対象として前兆地点を検出することにより、地盤変動の状況を捉え、警告を行うことが可能です。
Synspectiveは、衛星を開発・運用するだけでなく、このように新たなソリューションサービスや解析技術開発も主力事業のひとつです。
世界各地で自然災害が頻発し、甚大な被害が発生する昨今、衛星データを活用した新たな技術が人々の安全と持続可能な社会の実現に向けて前進できればと考えています。